40代50代が若々しくいたいなら「声のアンチエイジング」を!すぐにできるケア5選【薬剤師監修】
「最近、昔より声がかすれてきた」「高い声が出しにくい」と感じることはありませんか? 実は肌や髪と同じように、声も年齢とともに変化していきます。声質の変化は人に与える印象にも影響するため、若々しさを保つには“声のアンチエイジング”も大切です。声の老化の原因と、今日から始められるセルフケアをご紹介します。
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1.声の老化の原因
 
    声が変化する背景にはさまざまな要因があります。ここでは代表的な原因を4つご紹介します。
①加齢による影響
通常、声は喉の奥にある声帯が、肺から送り出される息で振動することによって発せられます。しかし加齢に伴い、声帯の細胞が減少し、声帯を動かす筋肉が衰えていくと、その振動が弱まりやすくなります。その結果、声がかすれたり声量が落ちたりして、以前よりも力強さに欠ける印象を与えるのです。
また、肺活量の低下も声の響きや安定性に影響します。声帯を振動させる息が少なくなることで、声の響きや安定性が損なわれてしまい、弱々しい声になりやすいのです。
②自律神経の乱れ
声の老化には自律神経も関係しています。女性の場合、更年期に女性ホルモンのバランスが変化することで、自律神経が乱れやすくなります。
その結果、血流が悪くなり、声帯にむくみが生じやすくなるのです。声帯がむくむと高い音域が出にくくなり、以前より声が低く聞こえるなどの症状が出やすくなります。
また、自律神経が乱れて唾液の分泌量が減り、口腔内が乾燥することも声の老化につながる要因です。乾燥による声のかすれや出しづらさなどを感じやすくなります。
③姿勢の悪さ
猫背や巻き肩などの不良姿勢によって、腹筋や肺に負担がかかり、呼吸が浅くなることも声の老化を招く要因です。年齢を重ねると、加齢によって背筋などの筋力が衰えたり、脊柱が変形したりして姿勢が悪化しやすくなります。
姿勢の悪化により呼吸が浅くなると必要な空気を十分に取り込めず、声帯を揺らす息も細くなります。その結果、声が弱々しくなるのです。
④会話の減少
声を出す機会が減少していると、年齢にかかわらず声の老化を招いてしまいます。メールやSNSでのやり取りが中心となり、日常生活で声を出す機会が減っていると、声帯を動かす頻度も自然と少なくなります。
声帯は筋肉の一部であるため、使わなければ徐々に衰えてしまうものです。声帯が衰えた結果、声帯の振動が弱まり、声がかすれたり、以前より通りにくくなったりします。
2.声の老化を招くNG行動
 
    生活習慣によって声の老化を招いている可能性もあります。例えば、喫煙や過度な飲酒は声帯を刺激し、炎症を引き起こします。声のかすれや声枯れなどにつながるため、できる限り控えましょう。
また、大きな声を頻繁に出す習慣も、声帯を酷使するため、声の老化を早めてしまう要因の一つです。カラオケやスポーツ観戦などで大きな声を出す機会が多い場合は、声を張り上げないようにしたり、適度に喉を休ませたりしましょう。
さらに、口呼吸が習慣化すると喉が乾燥しやすくなり、口腔内の潤いが失われます。喉の乾燥を防ぐために、適度な水分補給と鼻呼吸を心がけることが重要です。
3.声のアンチエイジング!おすすめのセルフケア5選
声の老化は避けられないものではありません。毎日の小さな習慣が声の若々しさを守ります。実践しやすいセルフケアをご紹介します。
①声帯筋を鍛える
声帯筋を鍛えるには「ストロー発声法」が効果的です。
<ストロー発声法のやり方>
(1)太めのストローを口にくわえる
(2)「ウー」と発声を5〜10秒続ける
発声時にストローが振動して唇の震えやむずがゆい感覚があれば、適切に発声できているサインです。1日50回程度を習慣とすることで、声帯の機能が整いやすくなります。
②唾液腺マッサージをする
 
    唾液の分泌を促して喉を潤すことも、声のアンチエイジングに効果的。唾液腺マッサージをして、唾液の分泌を促しましょう。唾液腺は耳から顎にかけて耳下腺・顎下腺・舌下腺の3つがあります。それぞれのマッサージ方法は以下の通りです。
<耳下腺のマッサージ>
(1)上の奥歯あたりの頬に指数本を当てる
(2)円を描くようにゆっくり前方に向かって回す
(3)10回ほど繰り返す
<顎下腺のマッサージ>
(1)顎下の骨の内側の柔らかい部分に左右の親指を当てる
(2)顎の下のラインを、顎先から耳にかけて3〜4箇所を親指をずらしながら順に押さえる
(3)5回ほど繰り返す
<舌下腺のマッサージ>
(1)顎下の中心の柔らかい部分に左右の親指を当てる
(2)上向きにゆっくり押す
(3)10回ほど繰り返す
マッサージによって唾液の分泌が促進されることで、喉が潤い声帯がスムーズに振動しやすくなります。
③姿勢を改善する
姿勢を改善して声の通り道を広くすることも、声のアンチエイジングにつながります。姿勢を改善するには、肩や首、腰などの筋肉をほぐして鍛えることが大切です。例えば、以下のような腰の筋肉のストレッチをしてみましょう。
<腰のストレッチ>
(1)仰向けで寝転がる
(2)両膝を胸に引きつけて両手で抱え、30秒キープする
(3)3〜5回繰り返す
ストレッチは毎日続けることが重要です。入浴後や就寝前などにストレッチをする習慣を取り入れ、姿勢の改善を目指しましょう。姿勢が整うと自然に声が響きやすくなり、若々しい印象を取り戻すことにつながります。
 
	④人と話す機会を増やす
会話の場を増やすことも大切です。メールやSNSではなく、電話やテレビ通話などを活用して人と声でつながる機会を持つと、声帯が自然に鍛えられます。
また、本や新聞などを音読するのも効果的。意識して声を出す機会を増やしましょう。
⑤漢方薬を活用する
声のアンチエイジングには漢方薬の活用もおすすめです。漢方薬は2つ以上の生薬でできており、心と体全体のバランスを整えることで症状の根本改善を目指します。先述したセルフケアに加えて漢方薬を取り入れることで、より効果を実感しやすくなるでしょう。
声のアンチエイジングには「喉に潤いを与える」「精神や筋の緊張を緩める」「自律神経の乱れを整える」などの働きがある漢方薬を選びます。
<声のアンチエイジングにおすすめの漢方薬>
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
滞った「気(き)」の流れを整えることで、ストレスや緊張によってできた喉の違和感を取り去る漢方薬です。喉のつかえ感やストレス性の胃痛、不安などにも用いられます。
・麦門冬湯(ばくもんどうとう)
胃腸の働きを整えて潤いを与え、喉や気管支の炎症、しわがれ声を改善する漢方薬です。痰が絡まない乾いた咳や気管支炎などにも用いられます。
漢方薬は体質や症状に合わないものを服用すると、思わぬ副作用が出ることがあります。漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談したうえで、自分に合うものを服用しましょう。
<参考文献>
川村直子,北村達也,濱田賢汰「ストロー発声法の音声リハビリテーション支援システムの開発」
日本歯科医師会「オーラルフレイル対策のための口腔体操」
 
		薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
編集/根橋明日美
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