【寝だめ、昼寝の習慣がある人は注意!】体調不良を招く社会的時差ボケって?[医師監修]
「休日にたっぷり寝たはずなのに月曜日になると体が重い」「連休明けは眠気が抜けない」——そんな経験はありませんか? その不調、もしかしたら「社会的時差ボケ」が関係しているかもしれません。社会的時差ボケの特徴や予防・改善のためのセルフケアを紹介します。
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1.社会的時差ボケって?
社会的時差ボケとは、仕事などがある平日と休日で睡眠時間帯がずれることで、体内時計と社会生活の時間にもずれが生じる状態です。ソーシャル・ジェットラグとも呼ばれ、海外旅行をしていなくても時差ボケに似た状態になることを指します。
休日の夜更かしで就寝時間が遅くなったり、寝だめで起床時刻が大幅に後ろにずれたりすると、体内時計が乱れてしまいます。その結果、休み明けの強い眠気やだるさ、睡眠の質低下などの不調につながるのです。
特に、生活リズムが変わりやすいGWや正月などの大型連休明けや、休日に朝寝坊を繰り返したあとの月曜日などに起きやすい傾向があります。
2.社会的時差ボケを招くNG習慣
社会的時差ボケは何気ない習慣によって起こります。具体的にどのような習慣が関係しているのかみてみましょう。
①休日の寝だめ・夜更かし
「平日に寝不足だったから、休日くらいゆっくり眠りたい」と、休日に遅くまで寝てしまうことはありませんか? 休日だけ起床時刻が大きく遅くなると、平日と休日で睡眠の時間帯に差が生まれ、体内時計と実際の生活時間がずれやすくなります。さらに、休日前や休日中の夜更かしも社会的時差ボケを招く要因のひとつ。就寝時刻が遅くなると翌朝の起床時刻も後ろにずれやすくなり、生活リズム全体が後ろ倒しになります。
こうしたずれが週末ごとに繰り返されると、休み明けに再び平日の時間帯へ戻る際、体に負担がかかって不調につながることがあります。
②長時間の昼寝
疲れがたまっていると「少しだけ」のつもりが、1〜2時間ほど昼寝をしてしまうこともあるでしょう。しかし、長時間の昼寝は、夜に自然と高まるはずの眠気を弱め、寝付きを悪くすることがあります。特に、夕方近くまで昼寝をすると夜になっても眠くならず、いつもより就寝時刻が遅くなりがち。その結果、翌朝も起きる時間が遅くなり、平日とは異なる睡眠リズムができてしまいます。これにより、体内時計が乱れて社会的時差ボケにつながります。
3.社会的時差ボケを予防・改善するためのセルフケア
社会的時差ボケを予防・改善するには、睡眠に関わる習慣を見直して生活リズムを整えることが大切。今日からできるセルフケアを紹介します。
①平日と休日の生活リズムをあわせる
まず見直したいのが、休日の起床時刻です。休みの日も平日と極端にずらさず、できる範囲で同じ時間帯に起きることを意識しましょう。就寝時刻も大きく遅らせないことがポイントです。
また、朝食は栄養補給だけでなく、生活リズムを整えるきっかけにもなります。しっかりと食べるほどの食欲がない場合は、バナナやヨーグルトなど、無理なく食べられるものをとりましょう。
②朝起きたら光を浴びる
朝起きたらカーテンを開けて明るい光を浴びることも大切。朝の光は体内時計をリセットし、睡眠と覚醒のリズムを整える大切な刺激です。
また、日中にしっかり光を浴びることは、夜間に睡眠を促すメラトニンの分泌を高めることにもつながります。メラトニンはセロトニンを材料としてつくられ、暗くなると分泌が高まるホルモンです。
窓際で朝食をとる、光が当たる場所で身支度をするなど、室内でもできるだけ明るい環境で過ごすことから始めましょう。反対に、夜は強い照明を避けるとメラトニンが分泌されやすくなり、寝付きをよくすることにつながります。
③昼寝は短時間ですませる
昼寝をするなら短時間で済ませ、夜の睡眠に響きにくい方法を意識しましょう。目安は午後3時より前に、15〜30分程度。短時間で切り上げることで、眠気を解消し、夜の寝つきを妨げにくくなります。ベッドに入ると長く眠ってしまう方は、ソファや椅子で休む、アラームをセットするなどの工夫もおすすめ。長時間眠ると逆効果になるため注意しましょう。
④日中に適度に体を動かす
日中の適度な運動も、睡眠の質や寝付きの改善に役立ちます。適度に体を動かして疲労感を得ると、寝付きをよくすることにつながるのです。特に、ウォーキングなどの有酸素運動をするとセロトニンの分泌を促す効果も期待できます。買い物のついでに少し遠回りする、昼休みに歩くなど、続けやすい運動を習慣にしてみましょう。
⑤漢方薬を活用する
社会的時差ボケによる不調が続いているなら、漢方薬を活用するのもひとつの手です。漢方薬は心と体のバランスを整え、不調の根本にアプローチします。不調を招きやすい体質から改善するため、何度も不調を繰り返してつらいときにも役立ちます。
社会的時差ボケによる不調には「精神の高ぶりを抑える」「胃腸の機能を改善する」「血流を改善して気力を充実させる」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
<社会的時差ボケによる不調におすすめの漢方薬>
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
心身ともに疲れて弱っている人に。ストレスや過労による神経の興奮を和らげ精神を落ち着かせ、疲れすぎて眠れないといった不眠を改善する漢方薬です。
・加味帰脾湯(かみきひとう)
胃腸が弱く、精神疲労があって顔色が悪い人に。胃腸機能を高めてエネルギーと栄養を補うとともに、自律神経のバランスを整えて弱った心身の回復を助ける漢方薬です。
ただし、漢方薬は社会的時差ボケそのものを治す薬ではありません。また、体質や症状に合っていないと効果が感じられないどころか、思わぬ副作用が出ることも。自分に合った処方を選ぶため、漢方薬に詳しい医師や薬剤師などに相談しましょう。
【社会的時差ボケに関するQ&A】
Q.どのくらい寝だめをすると社会的時差ボケが起きやすくなりますか?
社会的時差ボケは、平日と休日の睡眠の中央時刻の差が2時間以上になる場合に起きやすくなります。例えば、平日は1〜7時まで、休日は2時〜10時まで寝ている場合、中央時刻の差は2時間になり、社会的時差ボケが起きやすくなります。休日に2時間以上寝だめをする習慣がある場合は注意しましょう。
Q.社会的時差ボケのサインはありますか?
代表的なサインには以下が挙げられます。
・休日明けの強い眠気やだるさ
・朝の起きづらさ
・寝付きの悪化
平日と休日の就寝・起床時間がずれがちで上記のようなサインもある場合、社会的時差ボケが起きている可能性があります。
Q.社会的時差ボケを放置するとどうなりますか?
社会的時差ボケの状態が続くと、体内時計が乱れるため心身にさまざまな不調を引き起こします。生活習慣病や脳血管障害、心血管系疾患、うつ病の発症リスクとなる可能性があるため、早めに改善しましょう。
<参考文献>
※ 厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと」
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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